16年を振り返って、そして未来に向けて

 平成15年4月、初当選後、「まちづくり」を核として様々な和歌山市の課題にチャレンジし、経験を積ましていただきました。 当選初期の頃、勇んで行政側へ課題をぶつけ、検討を促したところ法律の壁に跳ね返され、「もう一度、勉強して出直してきます。」 といって悔しい思いをしたこともあります。今となっては良い経験を積ませて頂いたと感謝しております。議会での一般質問でも当初は、私の言いたいことがうまく伝わらず、四苦八苦したことが思い出されます。平成15年12月定例会での初質問で次のよ うな言葉が漏れています。「今回初質問をさせていただきまして、自分の思いを質問するというのはいかに難しいのか、それをま たぶつけて、答えを引き出していくというのも難しいなというのを痛感しているわけです」と。極め付けは、平成21年2月の定 例会での一般質問です。久しぶりの登壇だったこともあり、今回質問しておかなければならないこと、残しておかなければならな いと思うことがたくさんあったため、質問が長くなり、最後は時間切れとなり議員の皆様にご迷惑をお掛けした次第です。また、 平成27年5月に拝命した市議会議長職は、16年間の議員生活で特筆すべき1年となりました。様々な他都市を見る機会に恵ま れたとともに和歌山市で行われている多様なイベントにも参加でき、大変有意義でした。特に第70回国民体育大会での公務は、 記憶に残るものでした。

 平成16年12月定例会で「砂山南地区文教の杜計画」を提案しましたが、どのようにして行政側を引き込み、住民の方々の協力を得るか、実に不透明な部分がありました。そのような状況下で、行政に対する働きかけを通じ、徐々に協力してくれる職員がが表れ、住民の方々の中にもまちづくりに賛同して頂ける方が表れ始めました。私にとっては、大変心強い方々で、まちづくりを進める大きな援軍でもありました。砂山南地区まちづくりプロジェクト協議会設立後、様々な取り組みが行われ、砂山・今福地区都市再生整備計画が策定され、実施されていきます。その最中、今福地区で下水の雨水管、汚水管の未整備地区の自治会長より問 題提起があり、NPO法人愛福会が地域の住環境問題として捉え、愛福会が率先して地域住民の意見集約を図り、市役所3階の第5応接にNPO法人愛福会のメンバー、関係自治会長、和歌山市の関係部署担当員と私が集まり、図面を広げ、様々な検討を行い ました。このような作業を通じて、行政と地元NPOとの役割分担が明確となり、事業が始まりました。私道が大部分を占める道路の地権者同意を求めるため、行政が3年間で取得した同意書が1/3であったものが、地域住民が動くことで、1日で残りの95%の同意書の取得を達成したのです。私にとっては画期的な事で、地元住民と行政との役割分担が明確化して行われた事業の成果でもありました。また、この事業では今福地区を超え、西小二里地区の一部にも声を掛け、下水道事業に寄与したことは行政にと っても大きな出来事であったと考えております。さらに、この事業の期間中に砂山地区と今福地区のまちづくりには大きな違いがあります。砂山地区は、戦災に遭っており、戦災復興の区画整理で一部を除きまちが整備されています。一方、今福地区は戦災に遭っておらず、まちの整備が行われていない、狭小道路が錯綜するまちです。 このような違いのあるまちの姿をどのように考えるか、砂山、今福両NPO法人の定款を見て、その危惧が払拭されたことを覚え ております。この両NPO法人は、平成29年12月、和歌山市より都市再生推進法人に指定され、さらなるまちづくりの旗手と して期待しております。

 現在行われている「砂山今福地区都市再生整備計画事業」は、平成31年度で5年間で計画された事業が完成します。この5ヶ年で行われた事業は、平成24年にまとめられた「砂山・今福地区まちづくり提言書」に示された整備方針の一部です。まちづくりの 4つの目標を達成するためには、引き続き、都市再生整備計画事業の継続が必要です。特に4つの目標を達成するにはコミュニティ センターの必要性を提言書では語られています。そこで私は、国土交通省と和歌山財務事務所の跡地を活用し、生涯学習機能だけでなく、地区の特性を活かせるよう市民大学機能や地域の活動機能を合わせ持つ複合型コミュニティセンターにしてはどうか、と提案しました。同時に、第8ブロックの高松、今福、砂山、吹上地区の連合自治会が、この跡地にコミュニティセンター建設を要望していること、さらに1万2000人強の住民の方々の署名も提出され、住民のコミュニティセンター建設要望が高まっています。これに対し尾花市長からは、「これからの公共施設の建設は、多目的な複合施設として整備することが望ましい。コミュニティセンターについても、どのような機能を持たせれば住民サービスの向上につながるのか、市民大学も含めて今後検討していく。また、跡地活用のスケジュールについては、現在砂山、今福地区では平成31年度を目標にまちづくりを進めており、コミュニティ センターについても、これに続く事業として検討を深めるとともに、近畿財務局をはじめとする関係機関と協議していく。」との答弁を頂きました。多目的コミュニティセンターの建設は、このまちづくりにおけるシンボルであるため、私も心血を注ぐ所存です。

  • 候補者が政務調査費を活用してNPO法人の方々と作成した
    多目的コミュニティセンターのイメージ図
  • 1万2000人の署名を尾花市長に手渡す第8ブロックの連合自治会長たち

 和歌浦、雑賀崎、田野地区につきましては、先にも述べましたように浪早ビーチの海中水族館化、スキューバーダイビングの講習会場としての活用とともに、併せて田野地区の空き家、更地などの利用も含めた活用を住民の方々といっしょになって行政へ提案していきたいと考えています。

 まちづくり、砂山今福地区のまちづくり、和歌浦雑賀崎田野地区のまちづくりはそれぞれに特徴があり、中心になるまちの課題は違うかもしれませんが、トータル的には和歌山市の縮図とも考えられるのです。和歌山市の諸問題は、必ずこれらの地区とも共鳴します。今、私が取り組んでいる諸問題が解決しても、必ず市と共鳴した問題が生じてきます。従って、私は、まちづくりは尽きることのない永遠のテーマであると考えているのです。このテーマにチャレンジすることでまちに住む方々の絆が生まれ、その絆を紡ぐことでその地区に住む方々の物語が生まれると確信しています。私は、物語が生まれるために全精力をつぎ込む所存です。